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中小企業診断士受験生の備忘録 改め 中小企業診断士の自分用メモ

慢心~その2~

このブログの初日の記事で、「事例4がかなりひどくても合格している」(情報元:LEC2次筆記試験合格者の答案を分析!」セミナー)ことに驚いたと書いた私は、その時点では、「第3問のおかげで思ったほど点は取れてないけど、事例4は絶対A評価」と信じていた。

 

不合格者特典(笑)として、事例毎の成績が通知された結果、「思ったほど貯金が作れなかった(そして、それが敗因かも)」と思っていた事例4が借金科目であったことは、さらなる驚きであった。と同時に、これこそが私の「慢心」の象徴であったことを痛感した。

 

答案の正確な再現は省略するが、私の事例4の計算(数値)問題の正解数は14問/19問である。一方、上述のセミナーで配布された「合格者」2名(Aさん、Bさん)の再現答案によると、正解数はそれぞれ、Aさん11問、Bさん8問であり、Bさんに至っては第2問(設問3)(a)、(c)も明らかに間違っている(ちなみに私は正解している)。

となると、Aさんはともかく、Bさんは他事例が抜群によかったために総合Aとなった可能性はあるものの、事例4に限定すると、平均レベルを上回って得点できたのは「第3問」だけなのではないかと思われる。そして、ここが今回の勝負の分かれ目だったようだ。

 

当日のことを思い返すと、得意の事例4を迎えて気合十分だった私は、開始の合図とともに問題に順に目を通し終わると同時に、一種の憤りを覚えていた。

他の受験生のブログ等によると、「なぜP/Lがない?」「200%定率法?」等にも驚き、あるいは私のように憤った人が多かったようだが、個人的にはこれらは特段騒ぐほどのものではなかった。ただ、計算要素のまったくない第3問(しかも前提とされている知識が検討もつかない)を見た瞬間、「70点満点で70点を狙うしかない」というプレッシャーが襲ってきた。

また、問題を解き進めるうち、(多くの人にとってそうではなかったようだが)第1問、第2問はかなり簡単だと感じたため、「第3問の90字一本勝負=30点で勝負が決まるの?何て不合理な!」と完全に冷静さを失ってしまっていた。

 

(時間的には余裕のある問題だったので)いくつかの計算ミスは精神的な動揺も原因している可能性があるが、事例4での「慢心」は記述問題に表れたのだろう。

第3問の出題内容に憤慨しながらも、第1問、第2問は(少なくとも記述については)まったく難しいところはなく(だからこそ、いっそう第3問に憤ったわけだが)、さほど頭を悩ませずにマス目が埋まった。

問題の第3問は、何も書かないわけにはいかないので、自分なりに切り口を見つけて、それに沿って記述したが、前提知識が不明である以上、手応えはまったくなかった。

 

Bという結果が返ってきた今にして思うのは、一言で言うなら「自分は財務・会計が得意だ」とか「そんな自分が知らない論点が出るなんて」といった雑念によって、「中小企業診断士としてD社社長に最善を尽くした助言を行う」という基本姿勢を忘れ去ってしまい、そのことが雑な記述につながってしまったということだ。D社に対して大変失礼なことであり猛省している。

 

具体的には、第1問(d)、第2問(設問2)といったあたりでは、持てる知識を総動員しつつ、簡潔ながらも、もっと的確なアドバイスができたはずだし、第3問に関しては、わからないなりに、もっとD社(与件文)と向き合った記述をするべきだった。

 

実際の診断業務においても、自分が得意な分野であるほど、説明に最善を尽くす努力を怠ってしまうおそれがある。試験の段階でそのことに気づかせてくれたことに感謝して、自らを戒める次第である。