事例3の振り返り-その2-
昨日に引き続き、第3問で私が犯した第二の失敗について考察する。
Y社とのOAフロア共同開発事業の失敗の具体的な内容は、与件文によると
「シンプルな機能で軽量化された低価格製品と競合し、販売数量が低迷」
したことである。
C社は競合とは異なって「施工性がよく多機能」な製品を投入しているため、価格競争に陥ったというよりは「顧客ニーズを読み違えた」ことが失敗要因であろう。
では、OAフロア市場のニーズを的確に把握した上で競合他社同様のシンプルな製品を投入していたとしたら、C社に勝算はあったのだろうか?
主力事業である通信用部材市場でも納期や価格面での評価は低いC社は、OAフロア市場で戦っていくのは少々厳しいのではないか?
上記のような思考プロセスを経て、「市場の選択は正しかったが、投入する製品を間違えた」のではなく、「市場の選択自体を間違えた」と結論づけたのだが、後はそれをどう記述するかである。
昨日考えた解答構成の基本型は
「要因はAである。留意点は(Aを回避するための)Bである」
だった。
このフレームに沿って組み立てていくと、まずはAで要因を端的に示した後に、Bで留意点をいくつか挙げていくことが考えられる。
私の第一の失敗は、昨日振り返った通り、「要因はAである。留意点はAを回避することである」と、後半部分を単なる前半部分の裏返しで記述してしまったことであった。
では、前半部分の記述(A)には問題はなかっただろうか?
ここで、設問文を今一度読み返してみると、「過去に経験した~失敗の要因」と「今後の~留意点」とあるから、 「失敗の要因は個別具体的に」「留意点は汎用的に」記述する必要がありそうだ。
先に考えておいたフレームからは、A=抽象的、B=具体的というイメージが浮かぶが、設問要求は、「(新規事業全般がうまくいっていない理由ではなく)Y社との共同事業が失敗した要因」であり、「(何か具体的な新規事業を想定しているわけではなく)新規事業開発全般に関する留意点」であるから、むしろ、A=具体的、B=抽象的という流れになる。
となると、解答のフレームは
「要因は(Y社との共同事業失敗の例に即して具体的に言うならば)Aである。留意点は、(Aを踏まえた上で、今後の新規事業開発全般に適用できる考え方としての)Bである」
という具合に、括弧内をより詳細に定義することができる。
なお、一般的には、具体論であるAの部分を例示列挙形式にして、抽象論であるBは列挙した事実の共通項を抽出する方向で構成したくなるところだが、上述の設問要求から、Aは具体的な要因を一つだけ挙げて、Bはやや抽象的だが汎用性のある対策を複数列挙することになりそうだ。
ここまでをまとめると、
「要因は(Y社との共同事業にあたって、市場選択時の意思決定ミスにつながった)A(具体的事実)である。留意点は、(新規事業として進出すべき市場を的確に見極める上で、一般的に必要と考えられる)B(複数列挙)である」
ということになる。
こうやって思考を整理した後に、私の再現答案を引っ張り出してみると、Aについては一見いい線をいっているようでいて、やはりピントがずれている部分が見つかった。
次回は、「失敗要因」を聞かれた場合、外してはいけないと思われるポイント(姿勢)について明らかにしていきたい。