「出題の趣旨」を使って模範解答を斬ってみる(平成25年事例1編)
昨日分析した、平成25年事例1の「出題の趣旨」を使って、不遜にも受験校の模範解答を斬ってみたい。本当は自分の再現答案を添削してみるのが一番だろうが、それは後でもう少し時間をかけてやってみることにする。
なお、対象として今回は最大手受験校のTACを選定した。
http://www.tac-school.co.jp/sokuhou/chusho/pdf/jirei1_1310a.pdf
1-1
ポイント:「既存顧客×現行の取扱商品」という制約条件を意識しているか?
所感:意識していることが明確に伝わり、制約条件にきわめて忠実な解答。
ただ、「誰に」「何を」はよいとして、「どうやって」の部分にも与件を利用するべきではないかと思った。他の設問と内容が重複することを避ける意図かもしれないが、「A社の」施策の留意点としては、やや一般論に傾きすぎているきらいがある。ちなみに、「新商品の企画」は禁じ手になっているところ、「現商品の改良」というのは一応セーフということなのだろう。
1-2
所感:「少しずれてしまっている?」と感じる解答。
A社の効率的な経営管理体制は、具体的には、即戦力非正規社員のスピーディーな投入+ノンコア業務の外注化によって実現している。一方、効率化は必ずしもそれ自体が目的ではなく、人的リソースの有効活用による高付加価値化の手段であるとも言える。後者に重きを置いた解答ということだろうが、外注活用については単純に効率化を狙ったアクションとして受け止めてもよかったのではないか。
2-1
ポイント:とくになし。
所感:基本的に異論のない解答。
今回の事例1で最も簡単だったと思われる設問で、「解答の趣旨」から特段のヒントは得られないが、各種模範解答・再現答案を見ても極めて振れ幅が小さい結果になっている。
2-2
ポイント:モチベーション維持につながる非経済的インセンティブを具体的に挙げているか?
所感:「少しずれてしまっている(盛り込みすぎてしまっている)?」と感じる解答。
文字数も100字あることから、多面的に考察し、さまざまな段階での施策を提案している。ローリスクと言えばローリスク、ユニークと言えばユニークな解答と言えそう。
今回、「~以外」という縛りが1-1と2-2で設けられたが、あまり深読みせずに「A以外」と言われたら素直に「Aの裏返し」で考えれば出題趣旨に合致するという結果になった点は興味深い。
3
ポイント:新卒正規社員に期待する役割が明確になっているか?
所感:「かなりいい!」と思える解答。
役割が「具体的に」示しにくい中で、外部環境やA社の成長フェーズを意識して、うまく解答にまとめている。このあたり、短い時間では「分かってても書けない」状態になりがちであるが、80分でこのくらい書けた人がいたら相対的にはかなりの実力だと思う。
4
ポイント:「出題の趣旨」にヒントはないが強いて言えば多面的に書くべき?
所感:「TACにしてはハイリスク?」という解答。
「類推」の極みのような問題で、こういう問題こそ多面的に解答するべきなんじゃないの?というのが個人的な感想である。「データベース設計時の要求仕様上の不備」一本に絞った解答は、「項目はあるんだけど入力されてない」「入力されてるけど誰も見てない」「見てはいるんだけど開発にフィードバックできてない」といった可能性を切り捨てている点が気になるが、わりと同様のものを目にするので、出題の趣旨にヒントがあると嬉しかったな・・・口述試験の出題例とかを研究すると何かわかるだろうか?
では今日はこの辺で。