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中小企業診断士受験生の備忘録 改め 中小企業診断士の自分用メモ

平成21年事例1第4問

平成21年事例1については、実は「出題の趣旨」に疑義がある。

 

第1問の出題の趣旨

合併以前のそれぞれの企業の強みを分析し~両社の合併が生み出す効果~

 

第4問の出題の趣旨

合併に伴う生産体制の整備~

 

とあるのだが、

 

実際には、「F社はA社の傘下に子会社としてぶら下がっており、社長は両社を兼務している」という時期もあったことが与件文からは読み取れる。売上高や従業員数に関する記述からは「その後、合併したのだろう」と推定できるが、事例1にありがちな曖昧さで、明確に「合併した」という書き方はしていない(出題の趣旨を読む限りは、やはりどこかのタイミングで合併したのだろうという結論になるが)。

 

とりあえず、期待した成果や効果については、第1問で問われた両社の強みの違い(A社は素材にこだわり、F社は職人の技術が高い)や、A社の大都市圏市場における課題(定期的に目先を変える新作菓子を生み出す体制の整備)との関連で考えて、「洋菓子技術を活かした新作菓子の創作を推進する」ことは外せないだろう。

 

それ以外に、組織・人事的な切り口として、「組織文化の融合、コミュニケーションの活性化」や「モラール向上、人事の公平性」といったキーワードが「ふぞろい~」には挙げられているが、前者はともかくとして後者はどうだろう?

個人的には、両社は、少なくとも買収直後の時点では合併していたわけではなく親会社・子会社の関係にあり、(その後、親子合併をしたにせよ)子会社のベテラン職人を親会社の工場責任者に任命するという人事は、「公平」というよりは、かなり思い切った「大抜擢」であり、相当刺激が強いように思う。

したがって、「公平な人事でモラール向上」というよりは「大胆な人事でイノベーション誘発」といったニュアンスが強いのではないか?というのが私見だが、そもそも「親子関係で両社が独立して存在」なのか「合併」なのかはっきりしてないし(笑)、極論に偏った解答はリスキーな気がしてきた。

 

事例1は、ただでさえ書いておいてほしい情報が曖昧にぼやかされている傾向が強く、ある種空気を読む能力が必要とされる点が難しい。

 

これも組織・人事には必要な能力と割り切って「空気の読める男」目指して頑張るしかなさそうだ。