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中小企業診断士受験生の備忘録 改め 中小企業診断士の自分用メモ

平成21年事例1第5問

この年の事例1で唯一の助言系問題。

 

助言系は与件文からの抜き出しで対応できない部分が多く基本的に難しいが、この問題に関していえば、一般知識を動員するよりは与件文から使えそうな要素を引っ張ってくるアプローチで大部分は対応できそうだ。ただし、制約条件の「短期的に」が曲者である。また、「売り上げを増進させるための具体的施策」と思いっきりマーケティング寄りの問いかけになっている点をどう捉えるか?

 

例によって「ふぞろい~」を見ると、かなりキーワードがバラけており、この本の採点基準だと、いかにキーワードをふんだんに盛り込めたかで点数に差がつくこととなるが、実際に出題者が想定していた模範解答はどんな感じだったのだろう?

 

まず、売上増進のための施策なので、ここは市場・販路別に整理するとよさそうだ。

すなわち、「地元市場」「大都市圏市場」「インターネット通販」である。

また、外部環境の変化としては「景気低迷」くらいしか与えられておらず、ここへ来て新しい機会や脅威が顕在化しているということではないため、主に内部環境に着目して施策を検討することになる。このあたりが、一見マーケティング的なこの問題が、組織・人事事例のラス問として用意されている所以だろう。

 

以下、「ふぞろい~」の加点キーワードや分析とは離れた独自見解であり、あまり自信はないが整理してみた。

 

「地元市場」向け施策

パート・アルバイト社員を含む販売員の教育を徹底した上で、優秀な販売員を表彰する等して、整理統合後の店舗における販売・接客力を向上させる。

→店舗の整理統合を行ったということは、現在では同一店舗で和菓子・洋菓子の双方を扱っている状態が想像される。「ストアコンセプトとしてそれでいいのか?」はここでは問わない(求められているのは短期的な施策だから)として、ある意味ムリヤリ整理統合を進めたことによって、販売現場の能力・士気が低下して売り場が荒れ、そのことが顧客離れにつながっていると推定した。

 

「大都市圏市場」向け施策

洋菓子職人の技術を活用して、A社既存商品を洋風にアレンジする等の短期的に対応可能な改良を施し、消費者にアピールする。好評な実演販売を推進し、洋菓子職人の技術を顧客の前で披露する等の販促展開を行う。

→本来は、この市場に魅力的な新製品を継続的に投入することが、A社の最重要課題=F社買収の狙いだったはずだが、組織の融合にはまだ時間がかかりそうな様子もある。「画期的な新製品」=「短期的には難しく中長期的な課題」と捉えた上で、洋菓子職人の技術を短期的に活用できる施策を考えた。

 

「インターネット通販」向け施策

限定商品を投入する等して、買収後の商品絞り込みにより手薄となったラインナップを補完する。W市地区の生産農家と連携を強化し、地域ブランドを前面に押し出した販促展開を行う。

→これについては思いっきりマーケティング的な解答になってしまったが、買収により商品ラインナップを整理したことには弊害もあると考え、インターネット通販にてリアル店舗とは違う商品展開を行うことを考えた。

 

上記全部を盛り込むと150字に収めるのは難しそうだが、「短期的」という制約条件によりストライクゾーンが狭められている中、一つの施策に絞り込んで記述することはリスキーなため、「短期的という制約を十分に意識している」ことを明らかにしつつ(できれば、市場・販路ごとに)複数の施策を提案するのが、テクニック面での注意点になるかもしれない。

 

「ふぞろい~」では「勝負の分かれ目」になっていたが、正直「難しすぎる」!