平成23年事例4第1問
平成23年の事例4は比較的組しやすい印象だが、第1問については意外と難しい。
・業績が伸びているにもかかわらず、問題点が問われている点
・設問1で経営分析をさせ、設問2ではCF作成結果に基づき課題を挙げさせている点
からは、いわゆる「勘定合って銭足らず」状態なんだろうと推測できる。
となると、まず、注目すべきは「売上債権」と「棚卸資産」であり、実際、同業他社比較でこれら資産の回転率が著しく悪い。
これら資産の回転率が悪いことが調達サイドに与える影響は負債の増加であり、実際、同業他社比較で負債比率が高い=自己資本比率が低い。
また、負債の増加は支払利息の増加を招くため、売上高営業利益率では同業他社を上回っているにもかかわらず、売上高経常利益率では下回っているという結果をもたらしている。
設問1と設問2の関連性を考えると、
・売上債権回転率
・棚卸資産回転率
あたりを挙げておけばよさそうである。
最初の方で「勘定合って銭足らず」と書いたが、営業CFも一応プラスではあり、やや借入は多いものの、BS全体として見て著しく不健全なわけではない(同業他社よりむしろ安定している部分も多い)ことから、借入金の多さに起因する問題としては、安全性の低下よりは収益性の低下がより切実と捉えるべきだろう。
問題点をもたらした原因、改善策、今後の経営上の課題については、新しい記事で検討したい。