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中小企業診断士受験生の備忘録 改め 中小企業診断士の自分用メモ

多面的に書くことの罠

二次試験を勉強しているとよく聞く言葉(答案作成メソッド)に「多面的に書く」というものがある。おそらくこのメソッドを取り入れていない受験校はないのでは?というくらいの印象があるので、その有効性は広く認められているということだろう。

 

例えば、平成25年事例2第4問設問1に、このメソッドを当てはめると、

利益=売上-費用

と分解されるから、

「利益確保上の留意点は、売上面で~、費用面で~」

といった具合に書くというのが、多面的な解答ということになるらしい。

 

ロジカルシンキングの基本である「MECE」(モレなくダブりなく)をベースとした解答メソッドという説明もよく聞く。

 

ただ、個人的に疑問に思うのは、「これってチェックリスト作りなんかには有効かもしれないけど、多面的に検討した結果、重要な切り口とそうでない切り口に分かれる場合があるよね?その場合、(多面的に検討した結果)重要な側面のみについて解答するんじゃダメなの?」ってことである。

 

上述の例だと、「売上を伸ばし」「費用を抑えれば」「利益は確保される」ってことで、売上・費用のそれぞれについて(利益にプラスになる方向での)留意点を挙げることができれば、「多面的で素晴らしい!」ということになるのだろうか?

売上面と費用面に分けて「多面的に」分析した結果、

「留意すべきは売上面である。具体的には~」という解答があってもしかるべきではないだろうか?

 

もっと言えば、売上>費用であれば利益は確保される(=黒字になる)わけだから、「通信販売の特性を踏まえつつ、売上・費用相互のバランスを考慮して~に留意する」といった観点から解答を構成したほうが、売上・費用に分解してしまって、それぞれを個別に検討するより好ましい場合もあるのではないだろうか?

 

売上・費用のバランスという観点からの留意点を述べるとすると、解答骨子は、

「利益確保上の留意点は、~のような費用を吸収できるように、~のような商品を~を対象として~のような方法で販売すること」

といった具合になるだろう。

 

もっとも、売上と費用をうまく関連付けて解答できるとは限らないし、実際に売上面・費用面の個々について同程度のウエイトで留意点が存在する場合もあるだろう。

 

ただ、この問題の場合、「販売サイトを構築すること自体は簡単なことであったが、どのように受注を増やすのかが難題であった」と与件文に記述があること、および、設問文に「店頭販売の比率が減り~、通信販売の比率が増えると想定される」とあることから、オペレーションレベルの改善によるコスト削減よりは、販売チャネルの構成比が変化した場合の販売戦略に主眼が置かれているように思われる。

 

したがって、販売面をさらに「店頭販売」と「通信販売」という切り口で「多面的に」捉えた上で、両チャネルの相違点に着目した販売戦略が書けたかどうかがポイントなのではないだろうか?

 

不合格者の発言なので説得力がないかもしれないが、一応、事例2はA評価だったのでご勘弁いただきたい。