チラシの裏

中小企業診断士受験生の備忘録 改め 中小企業診断士の自分用メモ

事例企業の優秀さ

今日は、一昨日に平成23年事例3を解いた際に起こした「大事故」を元に、自分が陥りやすい過ちについて考察してみたい。

 

一昨日の記事で、事例3企業には

 

・技術的にはいいものを持っており

・その技術を評価してくれる主要顧客に支えられて堅調に推移してきたのだが

・何らかの外部環境の変化があり

・新たなる挑戦を求められている

 

という「起承転結」があると書いたのは、平成23年事例3の第1問で犯してしまった大間違いを意識してのものである。そして、この間違いは平成25年事例3を実際に試験会場で受験した際にも共通するものであるため、自分の思考のクセとして強く意識する必要があり、これを矯正しないと事例3の高得点は難しいと思われるという点においても、とくに注意したい。

 

その間違いとは、簡単に、そして極端に言うならば、「事例3企業をバカにしている」ところからくるものである。

 

平成23年事例3のC社の変遷としては、

 

・金属加工業からスタートし

・組立工程、仕上げ工程を兼ね備えることで筐体完成品の受注が可能となり

・仕上げ工程(塗装)の技術が評価されて大手X社のOEM生産協力企業となり

・営業面でX社に配慮しつつも自社ブランド製品の開発・営業に乗り出すことで、下請け体質からの脱却による経営の安定化・さらなる成長を図り

・さらには、顧客ニーズを受けた個別受注生産事業にも乗り出そうとしている

 

といった具合に、きれいな成長ストーリーを描いている。

 

一昨日の記事にも書いたとおり、製造業への思い入れのなさ等が災いして感受性が鈍くなっているところはあるが、まずは、C社の堅実でありながらもチャレンジを忘れない姿勢と、そのことがもたらした今までの成長、そして新たなる成長機会への取り組みを、すべて肯定的なスタンスで捉えることがスタートとなる。

私の思考のクセとして、

「新しい事業機会に向けて改善が必要である」=「C社はダメな部分の多い企業である」

というニュアンスで受け止めがちなところがあって、これが解答の方向性を狂わせている。

 

具体的には、事例3の問題1で「C社の創業からの事業変遷を理解した上で、生産技術面の特徴と営業面の特徴を述べよ」という設問に対して、

(生産技術面)

安定した受注量の確保を優先したため、規格品の量産を前提した生産体制となっている。

(営業面)

大口取引先であるX社への配慮から、限られた販路へのルートセールス中心となっている。

といった具合に、どうも「下請け体質から脱却しきれていない残念なC社」的ニュアンスが濃厚な解答をしてしまっている。

 

私の言っていることも必ずしも間違いではなさそうだが、受験校であるAASのサイトで見ることのできる合格者再現答案を確認してみたところ、この問題をC社の「弱み」として捉えるニュアンスの解答は、見事なまでに一つもなかった。

ということは、この点に関する私の思考のクセはかなり偏っており、採点的な意味においては0点となる可能性が極めて高い。また、実際にC社にコンサルする場面を想定すると、コンサル先への理解・共感に欠けたえらく感じ悪い奴になってしまっている。

 

平成25年事例3第3問で、新規事業開発の留意点を問われた際に、

「C社としては積極的に行っているつもりの新規事業開発に成功しないのは、あとひと工夫(プロセスを踏むこと)が足りないからです」

と提案すればよいところ、

「成功しないのは、そもそも成功が難しい事業だからです」

というトーンになってしまったのも、「C社は真面目に努力してきたし、方向性も間違ってないから、もうひと押し!」という、C社に共感して応援するような気持ちが欠けているのが原因だろう。

 

今のところ、このクセは事例1や2に対しては出現しないようなので、「製造業に対する感受性」の問題として受け止めているが、一番得意な事例4あたりでは、「財務戦略不在で突っ込みどころ満載のD社」的な上から目線になって、別なかたちで顔を出す可能性が高い(実際、平成25年事例4では、そういった傾向があったと思う)。

 

事例(出題者)ごとの世界観にバリエーションの違いはあるものの、事例企業は基本的にすべからく真面目で優秀な企業であり、そんな企業に「中小企業診断士として」お手伝いできることは何なのか?それを常に意識しながら、事例に取り組んでいく必要があるだろう。そして、それは事例問題の世界を離れた、実際の中小企業支援の現場においても同様だ。