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中小企業診断士受験生の備忘録 改め 中小企業診断士の自分用メモ

H25事例4のB/Sは異常

事例4の経営分析対策として、過去問13年分の財務諸表の読み込みをやっているが、本試験の短い時間で効率的に指標の特定と分析を行うメソッドの開発には至っていない。

 

傾向的なものとしては、ここ最近は比較的「経営状態が良い」企業も出題されていることに気が付く。H22などは「長所または短所」をあげよとなっているが、短所が見つからないくらいだ。ただし、この年のD社は、売上の多くを依存するZ社からの「20~30%の値引き要求」という危機的状況にさらされており、結果、損益分岐点分析の重要性が浮上している(逆に言えば、従来の取引条件下では相当に安定した利益構造だったということだ)。

 

とは言え、典型的なD社は、不確実な外部環境の下、いつ赤字転落してもおかしくない(実際、赤字転落したり、その可能性が具体的に懸念されている事例も多い)財務基盤の弱い企業であり、損益分岐点分析が重要テーマとして繰り返し出題されるのも必然だろう。

 

その中でいきなり出現した財務超優良企業、というか「石橋を叩いても渡らないのでは?」と思われるほど現預金を溜めこんでいたのがH25のD社である。P/Lが与えられなかったことでも物議を醸したこの年の事例4だが、売上高だけは本文に与えられており、それを元に計算すると、何と月商の5.7ヶ月分もの現預金を持っている。

 

このくらいキャッシュリッチでないと、「投資をしても財務体質に問題はない」という結論を導き出すには不十分と考えたのだろうか?極端すぎて、本試験でB/Sを眺めた瞬間、比率の計算をする意義に疑問を感じてしまったくらいだ。

 

なお、H24以前のD社について、現預金月商倍率を計算すると、0.2~2.1ヶ月のレンジに収まっており、1ヶ月未満のケースが過半なので、基本的にはかなり心もとない状況にあると言える。ちなみに、2.1ヶ月分の現預金を持っていたのはH24のD社だが、これは売上が急激に落ち込んでいることの裏返しとも言え、損益的には売上高経常利益率が△9.74%の大赤字なので、このままでは数年中に破綻してもおかしくない(長期借入金の返済条件・金融機関の支援姿勢等が不明だが、二期連続赤字であり、営業CFもマイナスと推定されるので、追加融資が止まったら即アウト)という、過去問の中でも切迫度の点では筆頭と言ってよい事例であり、少しでもお金が残ってるうちに何とかしようということだろう。

 

過去問13年分については、直接解答に使える指標に限らず、財務諸表を多角的に分析して、今年の経営分析の攻略に役立てるつもりだ。