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中小企業診断士受験生の備忘録 改め 中小企業診断士の自分用メモ

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事例4第3問の設問2と3ですが、汎用性のあるエレガントな解法に整理できなかったので、「この問題限定」のメモ書き程度に・・・

※面倒くさいので、計算過程はブログ記載省略します。

 

(前置き)

この問題は事業(製品)撤退の是非を問う問題(平成23年事例4の第3問)と、生産の優先順位を問う問題(平成19年一次試験財務・会計第10問)の複合問題ということになりそうです。

 

(解き方)

 

設問2は、いきなり生産の優先順位を検討し始めるのではなく、まずは撤退の是非判断を行います。そうすると、Zは需要量が少なく貢献利益段階で赤字となることが見込まれるため、撤退判断となります。製品の絞り込みにより、最大直接作業時間は実質的に制約条件として意味をなさなくなるので、生産の優先順位を検討する必要がなくなり、X、Yをそれぞれ需要量と同数生産することで営業利益を最大化できます。

 

設問3では、販促によりZの需要量が増加し貢献利益がプラスになる可能性が出てきます。最大直接作業時間の制約から、3製品とも需要量いっぱいまで生産することはできないので、生産の優先順位を検討する必要があります。典型的には、直接作業時間一単位あたりの限界利益が大きいものから順に生産するという解法がありますが、この問題では、個別固定費の存在ゆえ、生産量との見合いで撤退判断についても並行して行わなければなりません。

 

以下、この問題に限定した自己流の解き方(一部過程は省略します)です。

 

1.検討アイテム数に関する考察

 

不採算製品の撤退判断も伴うため、最終的に生産対象として残るアイテム数が0~3のいずれになるか、あらかじめ検討してみます。もっとも、設問2の延長で考えると、アイテム数は2か3のいずれかになることは明らかです。

 

ここで、各製品ごとに、個別固定費(ここでは設問3の提案により追加する販促費を個別固定費に加えるものとします)の回収に必要となる直接作業時間を算出すると、

X:約1,947時間、Y:約2,833時間、Z:約2,273時間

となります(合計で約7,053時間です)。

 

どの製品からも撤退せずに3製品とも生産するということは、どの製品についても個別固定費の回収に必要な生産数量を超えて生産するということですから、約7,053時間は個別固定費の回収に費やされることになります。

 

そして、最大直接作業時間9,600時間から7,053時間を引いた2,547時間で獲得可能な限界利益は、最大でも9,500(製品Xの直接作業時間一単位あたりの限界利益)×2,547=24,196,500円です。

 

これは、設問2の状態でのX、Yの貢献利益合計から設問3で発生した販促費を控除した額(30,800,000円)に満たないので、3品目とも生産を継続することはあり得ないということになります。

 

2.どの組み合わせで行くか

 

となると、あとはどの2つを組み合わせるかの検討となります。

 

アイテム数を2つに絞ることを先に決めた結果、設問3でも最大直接作業時間は実質的には成約として考慮する必要がなくなります。

 

よって、需要量と同数を生産した時の貢献利益が大きいものから順に2つを選べばよいことになり、XとYを需要量と同数生産するというのが結論となります。

 

製品Zは需要量が増加しても結局は廃止される運命となりましたので、Zの販促は行わないことにすれば、さらに500,000円が浮くことになります(Xの販促は500,000円以上の効果があるので実施します)。

 

このような問題の一般的な解き方がどうなっているのかわからないですが、個別固定費の回収に意外と時間がかかることが確認できれば、固定費回収後の伸びしろというか要は総需要量が大きいものに絞っていく必要があるというイメージは持ちやすかったのかなと思います。

 

いやあ、こんな問題いきなり出されても解けませんわ。