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中小企業診断士受験生の備忘録 改め 中小企業診断士の自分用メモ

事例1の難しさ

平成25年度事例1について、「出題の趣旨」をもとに分析を進めようとしているのだが、考えれば考えるほど奥が深い。

 

受験校の模範解答はもちろんのこと、再現答案についてもできる範囲で入手するよう努めているのだが、この事例に関しては解答に相当バラつきがあるようだ。そういった意味では、いわゆる素点(出題者が当初意図した通りの採点基準に基づいた場合の点数)はかなり低く、その中での相対評価で成績が付けられているのではないかという印象だ。

とくに第1問が難しく、個人的にも、第4問まで解き終えた後に、全体との整合性を考えてあわてて解答を修正した記憶がある。

 

事例1は「組織・人事」というテーマの性質上、施策と効果の因果が不確実なものになりがちであり、与件を意識しつつも、一般論的な知識から解答を引っ張り出してくる要素が強い気がする。その点、事例2や3では、与件文に散りばめられた情報をうまく整理して解答にまとめる能力が重視されるのとは対照的だ。

 

平成25年度事例1は、大ざっぱに言うと、第1問・第2問が「(組織・人事的な)強み」(の維持)について、第3問・第4問が「(組織・人事的な)弱み」(の克服)についてということになろうかと思っている。往々にして「強み」と「弱み」は表裏一体である。A社の場合も、主力事業一本で成長可能なフェーズでは、「効率最優先」の組織・人事戦略が奏功したという事実がある。だが、厳しい外部環境の中で持続的な成長を実現するには、既存の人的リソースについては今以上にコアコンピタンスとなる分野に集中投入しつつ、一方では中長期的な成長を視野に入れた人事戦略も必要となってくる。

 

ここまで全体ストーリーが見えてくると、細かい設問解釈は別として、全体としては一貫性のある解答が可能となるだろう。

 

事例1は、組織・人事というテーマに由来する要素以上に、与件文・設問文に独特のクセがあり、出題意図が捉えにくい部分があるように思う。表面的な言い回しに振り回れずに、事例企業の問題点を大局的に把握することに重点を置きたい。